老人ホームの種類と月々の利用料

人生100年時代といわれるように、平均寿命が長くなりました。今後もさらに伸びることが予想されるでしょう。しかしその反面、老後の住まいに関する心配は後を絶ちません。支給される年金額が少なくなる中、高齢者施設の費用は気になるという人は多いでしょう。

どのような施設に入ると月にどれくらいの金額が必要なのかを、しっかりと確認しておくことが肝心です。

老人ホームの費用相場

老人ホームの月額利用料の相場は、全国平均で見ると約15万円です。しかしこの数値は都道府県によってかなりの差があり、最も高いのは東京都の約25万円で、青森県や宮崎県では8万円台になっています。都会と地方で料金の違いがあるのはもちろんですが、どのような施設が多いのかによっても変わってくるのでしょう。

老人ホームには全部で11種類の施設があります。

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公的施設と民間施設

老人ホームは公的施設と民間施設があり、その中でもさらに細かく分かれています。基本的に公的施設のほうが利用料金は安くなっていますが、人気が高くて順番待ちが長いというのが現状です。また費用は高めの民間施設ですが、独特でクオリティの高いサービスを提供しているところもあります。

金銭的に余裕のある人は、民間施設を視野に入れてもよいでしょう。

特別養護老人ホーム

一般的に特養といわれている施設です。公的施設の中では最も数が多く、費用も5万円から15万円と安いのが特徴。入浴や排泄などを含めて常に介護を必要とする人を対象としているため、要介護3以上が入所基準になっています。

しかしこの基準は絶対的なものではなく、要介護1や2でも入所が認められるケースもあるので、親族などが入所する際には相談してみるとよいでしょう。

介護老人保健施設

老健とも呼ばれる公的施設で、65歳以上の要介護者が自宅に戻って生活できることを目指します。

そのため、介護サービスも受けられますが、あくまでリハビリが中心です。理学療法士や作業療法士が常駐しているので、充実した機能訓練が受けられるのが特徴。

また、常駐する医師や看護師のもとで、安全で安心な生活を送れます。しかし在宅復帰を目指す施設のため、長期間の利用は認められず、3か月から6か月で退所しなければなりません。

月々の費用は8万円から14万円になっています。

介護療養型施設

回復を目的とした公的施設で、初期費用はいりません。月額の費用は9万円から17万円くらいです。医療法人によって運営されているため、リハビリや介護といったサービスは充実しています。逆に、レクリエーションなどはあまり行われません。

回復を目的とした施設のため、心身の改善状況によっては退所を求められることもあります。また厚生労働省の方針によって、2012年からは介護療養型施設は新設されなくなりました。現状では定員の9割以上が埋まっているため、順番待ちがきびしい状態です。

軽費老人ホーム

主に自立や要支援の高齢者を受け入れる公的施設で、月額費用は10万円から30万円が一般的です。さらに、所得が低い人は安い料金で利用できるというメリットもあります。しかし1990年以降に新設された施設はなく、2008年にはケアハウスへ建て替えられることが決定しました。

これからの入居はきわめて難しいといえるでしょう。

ケアハウス

軽費老人ホームC型とも呼ばれる福祉施設で、月額費用は10万円から30万円くらいです。自立型と介護型の2種類があり、入居条件や受けられるサービスは異なっています。自立型ケアハウスには介護サービスは含まれていませんが、外部事業者と契約することによって受けることもできます。

介護付き有料老人ホーム

民間施設のため費用はさまざまですが、月々15万円から30万円を目安に考えるとよいでしょう。また初期費用に数百万円かかるところもあります。介護サービス費が介護度別の定額制になっているのが特徴で、要介護度が上がったときの費用の見通しを立てておくことができます。

低価格がメリットの施設もあれば、高級感を売りにしているところもあるので、いくつもの施設を比較することをオススメします。

住宅型有料老人ホーム

主に民間企業が運営する施設で、月々の費用相場は15万円から30万円。さまざまな状態の高齢者を受け入れ、レクリエーションなどのサービスを利用できます。介護付き有料老人ホームとくらべて費用が安い傾向にあるので、要介護度の低い人は利用を検討するといいかもしれません。

しかし要介護度が高くなりすぎたり、認知症の進行具合によっては退所をせまられるケースもあるので、注意が必要です。

グループホーム

地域密着型サービスを目指す民間施設で、月額の費用は15万円から20万円が一般的。65歳以上の高齢者で、要支援2以上が基本的な入所の基準です。また施設と同じ市区町村に住民票があることも、入所するための条件になっています。

生活保護を受けていても施設によっては入居できる場合があるので、しっかりと条件を確認しましょう。看護師が常駐しているところもありますが、グループホームに看護師配置は義務付けられていません。身体の状態が変化して医療行為が必要になると、看護師のいないグループホームでは退所を余儀なくされる場合もあるので注意が必要です。

健康型有料老人ホーム

主に民間企業が運営している施設で、月々の費用が10万円から40万円と幅があるのが特徴です。また初期費用がかからないところもあれば、施設によっては数億円も必要なところもあります。施設内の設備もさまざまで、理容室や医務室、図書室やプールを備えているところもあるくらいです。

有料老人ホーム全体のうち、健康型が占める割合は1パーセント以下で、要介護度が比較的低い人を対象としています。

サービス付き高齢者向け住宅

一般型と介護型の2種類があり、賃貸契約になっているのが大きな特徴です。基本的なサービスは安否確認と生活相談ですが、オプションによってその他のサービスも受けられます。初期費用は0から数十万円、月額費用は10万円から30万円くらいだと考えておけばよいでしょう。

シニア向け分譲マンション

マンションというだけあって、初期費用は数千万円から数億円かかります。月々の費用は10万円から30万円が目安です。富裕層の高齢者向け住宅と考えるとよいでしょう。レクリエーションなども充実しているため、金銭的に余裕のある人は視野に入れてもいいかもしれません。

幅広い選択肢を知ることから始まる老人ホーム選び

老人ホームは種類が多く、施設によって費用もまちまちです。また身体的な条件や要介護度などによっても、入居できる施設は異なります。新設が認められなくなった施設もありますが、これからさらに加速するであろう超高齢化社会においては、新たな施設の誕生も予想できます。

常にアンテナを張って新しい情報を取得し、自身が持つ選択肢を増やすことを心がけましょう。大切な人には、いつまでも笑顔で暮らしてほしいものです。

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